エジプト神話はディープですよ。
とにかく複雑怪奇。
ガチで学ぶと終わりが全く見えません。
そこで、難解な物語をググっ!と凝縮。重要なエピソード(オシリス神話)を中心にまとめてみました。
アニメとクロスオーバーすることも増え、なにかと話題のエジプト神話。
ユニークな砂漠の神々を知れば、ハマること間違いナシ!
エジプトはナイルの賜物(たまもの)
まずは古代エジプトの地図をご覧ください。

ナイル川流域に緑の土地を確認できます。
一目瞭然ですが、古代エジプト文明はナイル川に沿って発展しました。
その流域を離れることは、サハラ砂漠での「死」を意味します。
身近に命の危機を感じることで、古代エジプト人には独特の死生観が芽生えました。
エジプト神話の特徴
もう一度、地図に戻ります。

エジプト神話を複雑にしている原因は、土地ごとに語られる神話が変わってくるため。
主な創世神話 | 主 神 |
ヘリオポリス神話 | 太陽神アトゥム |
メンフィス神話 | 創造神プタハ |
ヘルモポリス神話 | 知恵の神トト |
テーベ神話 | 戦の神モントゥ 太陽神アメン |
主な創世神話も、4つの都市名を冠したものになっています。
オシリス神話とは?
オシリス神話は、ヘリオポリス神話から続く重要な物語。無数のエジプト神話でも、必ず押さえておきたいところ。
エピソード1 オシリス vs セト
エジプトのオシリスは知的でとても温厚な性格。農業を広め、人々からの信仰も篤い理想の王様。
一方、弟のセトはオシリスと真逆で暴力と戦いを好み、とにかく野蛮なキャラクター。
そんな弟だから、当然のように兄への嫉妬がふくらみ、遂には殺害してしまいます。
エピソード2 憎しみのセト
セトによって捨てられたオシリスの棺は、ナイル川を下って地中海のビブロス(現レバノン)まで流れつきました。

妻のイシスは、ビブロス王に事情を説明、ようやく遺体を返してもらいますが、面白くないのは、それを知ったセト。
憎悪に満ちたセトは、オシリス復活の儀式に乱入、今度は遺体をバラバラに!
さらに、それぞれのパーツをエジプト全土へばらまきました。
エピソード3 ホルス vs セト
それでもイシスは諦めません。
散らばった身体を拾い集め、なんとかオシリス復活に成功。
その後、いざこざにウンザリしたオシリスは、現世に帰らず、そのまま冥界の玉座に就任。
一方、地上では復讐に燃えるオシリスとイシスの子ホルスが、王位継承をかけてセトにリベンジマッチ!
向こう見ずな性格で苦戦しますが、神々からセトが嫌われていたこと、最終的にホルス側が優勢だったこと、何よりオシリスの一推しで、なんとか勝利。
ようやく王として、エジプト全土を治めました。
オシリス神話の意味

引用:古代エジプト人の世界
死・復活・冥界の王について描かれたオシリス神話は、古代エジプトの死生観を決定付けた重要なエピソード。
またファラオ(エジプト王の総称)が亡くなり、次のファラオが即位する際の正統性も主張されています。
オシリス神話に登場する神々
ヌン
「原初の水」とも呼ばれるヌンは、全ての神々を産んだ「祖」のような存在。あらゆる創世神話に登場しますが、多くは、どんよりとした「水のかたまり」として語られます。
アトゥム

ヌンの中から、自らの意志で誕生した創造神。「原初の丘」を創り、そこで新たな神々を産みました(アトゥムは両性具有のため自ら交わり出産することが可能)。
シュー / テフヌト
アトゥムから産まれた兄妹神であり夫婦神。大気や太陽をコントロールします。
ゲブ / ヌト

シューとテフヌトの息子と娘で、同じく夫婦神。
あまりの熱愛で離れようとしなかった大地の神ゲブと天空の神ヌトは、父シューが娘ヌトを空へと持ち上げ、ようやく離散。
それ以来、大地と空の間に人間の住む場所が生まれました。
トト

トキの頭と人の姿を持つ知恵の神。石や卵から生まれた造物神。
あらゆる学問に精通し、信仰も篤い神様。
・世界最初の「計算」を発明
・宇宙や物質の法則を解明
・記録のために文字を発明
・人間と神の道徳観を定義etc.
オシリス

大地の神ゲブと天空の神ヌトの子供。エジプト神話では、最も重要な神。
冥界の王と豊穣の神としての側面を持ち、性格は温厚で民衆から王族まで幅広く信仰されました。
イシス

オシリスの妹であり妻。
豊穣を司り、死者や子どもの守護者としても広範囲に信仰を集め、その影響は古代ギリシャやローマにまで及びました。
セト

オシリスの弟で嵐と風の神。
なにかと憎まれ役のセトですが、ホルスとの王位継承に破れたあとは、不毛の砂漠で異民族の神様になりました。
砂漠の商人からは守護神として崇められています。
ホルス

ハヤブサを神格化した天空の神様。
エジプト全土を統一した王権のシンボルであり、様々な神話に登場。
セトとの80年に及ぶ戦いは、ナイル川上流の上(かみ)エジプトとナイル川下流の下(しも)エジプトの統一を表しています。
アヌビス

人間の身体に黒い犬の頭を持つ冥界の神様。冥界の王オシリスより古い存在で、墓場の番人として崇拝されました。
また、オシリスの身体を繋ぎ合わせてミイラとして保存したことから、ミイラ作りの守護神としても知られています。
ラー

太陽神ラーは、あまりにも絶大な影響力で、地域によって曖昧なエジプト神話でも最上位に君臨、ほぼ全域で崇拝されていました(王朝が成立する以前から、太陽信仰が確立されていたため)。
また、ホルス同様、ハヤブサの出で立ちは、空と関わりのある神々を象徴しています。
広がるエジプト神話の世界
これだけキャラも強めで、独特のビジュアルがあれば、イジってくれ!と言ってるようなもの。
エジプト神話は、今まで数多くのアニメや特撮・映画などの元ネタになってきました。
ここで取り上げるのは、ほんの一部。管理人の趣味丸出しですが、ご了承ください。
不思議少女ナイルなトトメス

今や笑うしか選択肢は残されていませんが、当時はヒロイン役の元女性アイドル(堀川早苗)が話題に。元ネタはファラオのトトメス三世から。
ミスターカーメン

「まんまやないかい!」…なんの捻りもない超人がキン肉マンには多数出演。ある意味インターナショナルな作品でした。モチーフはもちろんツタンカーメン王。
エジプト9栄神

ジョジョの奇妙な冒険第三部に登場。ヘリオポリス9柱神(創造神アトゥムと子どもたち)を荒木先生が上手いこと調理しています。
ペル(トリトリの実の能力者)

ほぼ確信犯ですが、ホルス or ラーがモデル。数ある鳥類の中からハヤブサを選んだ理由は、それ以外ありません。さらに古代エジプト文字・ヒエログラフでは王の総称として「ペル・アア(大きな家)」と言う言葉も使われていました。
トーセンラー

最早アニメでも特撮でもありませんが、ゴリ押しでエントリー。競走馬は意外と神々の名前を付けた馬が多いんです。トーセンラーは太陽神ラーの名前を背にG-1マイルチャンピオンシップを制覇。
他にも地獄大使(仮面ライダー)や女神転生などのゲーム、近頃はWEBアニメ「とーとつにエジプト神」など、あらゆるジャンルに波及。
その勢いは増すばかり。
冥界の王オシリス、広大な国土を統べるファラオ、巨大なピラミッドなど、エジプト神話は、とにかくミステリアスでパワフル。
死後の世界にウェイトが置かれている点も唯一無二。
知れば知るほど面白いエピソードは魅力のかたまりです。
引き続き詳しく学びたい方は参考文献をどうぞ。
【参考文献】
・エジプトの神話
・古代エジプト人の世界

ただし、エジプトに行きたくなっても一切の責任は負いません(最高)。