スイマセン。タイトルが渋滞しています。
ただただザンボット3を語るだけの回です。
このアニメの何がスゴいって、「戦いの被害」をキチンと描き、リアルな戦時下を演出したこと。
それまでのロボットアニメは、ストーリーのほとんどがロボットプロレスと呼ばれ、よく言えば単純明快、悪く言えば子供だましの低クオリティでした。

大成功したマジンガーZは、毎度毎度、永遠敵ロボットを粉砕するだけ(=お約束の連続)。見所は必殺技が炸裂するシーンのみ。
ザンボット3は、その点で大きく差別化を図ったのです。
ザンボット3は葛藤の連続
・神(じん)ファミリーは母星をガイゾックに滅ぼされた
・神ファミリーの末裔は先祖からの遺産ザンボット3と移動基地ビアルⅠ世・Ⅱ世・Ⅲ世でガイゾックに対抗
・ザンボット3のパイロットは勝兵(かっぺい)・宇宙太(うちゅうた)・恵子(けいこ)の三人
・戦いの被害を被った地球人は神ファミリーを憎む

©️サンライズ
ガイゾックは星々を破壊する悪魔のような存在で、ターゲットにされた地球には、かつて故郷を滅ぼされた神ファミリーの末裔が住んでいました。
彼らは先祖から受け継いだ超兵器ザンボット3を起動。人類のために立ち上がり、ガイゾックと戦います。
しかし、その度に倒壊する街や津波の影響で、人々は逃げ惑い、住み処を失い、家族はバラバラに。
その結果、人類のフラストレーションは、神ファミリーへと向けられます。
「宇宙人同士の争いなら他でやれ」
「ガイゾックを呼びよせたのはオマエたちだ」
「ガイゾックに逆らうから争いが起きるんだ」
地球を守るための戦いは、思わぬ方向へ展開。
ガイゾックの存在もザンボット3の奮闘も人々には理解出来ません。
「なんでわかってくれないんだ…」
勝兵たち14歳の少年兵は、理不尽な葛藤に苦しめられます。
第12話 「誕生日の死闘」のダイジェスト

「誕生日の死闘」では、パイロットの一人・恵子を軸に、重すぎる苦悩を描きます(以下、画像引用は©️サンライズ)。
誕生日に長野へ帰省する恵子。友人と戯れた日々を懐かしむ。

その長野にもガイゾックの魔の手は及び、仲間の両親は次々と死亡。家や家族を失った人々も疎開同然に街から避難。

街を上空から眺めていると基地から通信。ガイゾックの新たなメカブーストが松本を襲撃。応戦する恵子だったが戦禍に巻き込まれた友人は足を負傷。

戦いを終え一段落。友人の元へ駆けつける恵子。

しかし一方的に拒絶され糾弾。
「恵子!あなた、わたしたちのような孤児をもっと増やしたいの?人殺しよ!恵子は!」
たまらず泣き崩れる恵子。

自問自答を繰り返し湖で待つ母の下へ。
「人殺しなんかじゃない!人殺しなんかじゃないわ!お母さん、恵子はどうしたらいいの?」

湖で叫ぶ恵子。
「お母さーん!恵子は人殺しなんかじゃないわねー!」

湖底の基地からモニターで見守る母。気丈に娘を突き放す。
「わたしは戦士として、あの子を送り出したんです。辛いことがあったくらいで会えません」

その頃ガイゾックのメカブーストは再生して新たに復活。ザンボットチームは再び戦場へ。

戦う前に恵子は人々の避難を提案。宇宙太と供に洞窟へと誘導。

その際、間一髪で友人たちを救う恵子だったが、今度は彼女が足に怪我を負う。

しかし戦闘は継続。負傷した脚で戦いへ戻る恵子に、ようやく友人たちも心を開く。
「恵子!頑張ってね!」
笑顔を取り戻した恵子は勝兵と合流。

三人でザンボット3に合体。ムーンアタックでメカブーストを撃破。

怪我を押して戦った恵子。母にも会えず帰還。

終劇。母は娘を思い着物を編む。

そして「ガンダム」へ
第12話のハイライトは、湖で見せた恵子の悲痛な叫び。ザンボット3の世界観を象徴する、とても印象的なシーン。

・友人に理解されなかった
・友人を裏切ってしまった
・友人の両親を(間接的に)殺めたetc.
悔しさ。無念。後悔。わずか14歳の身に浴びせられた「人殺し」の汚名を晴らすため、何より自分自身を肯定するため、処理しきれない感情を精一杯吐き出す恵子。

見ててガチで辛くなった…
このエピソードに限らず、ザンボット3は、どこまでいっても苦悩と葛藤がつきまとい、暗いテイストのまま、衝撃のラストへ向かいます。
さすがに制作会社のサンライズも疲れたのか、次回作は180度転換。
その名も「無敵鋼人ダイターン3」。主人公の「破嵐万丈(はらんばんじょう)」も陽キャのパーティー野郎になりました。

そしてこの2作のエッセンスを吸収して完成したのが「機動戦士ガンダム」。

遂にロボットアニメは新時代へ突入。放映当時こそ視聴率は冴えませんでしたが、ジワジワと評価は高まり、少年武装蜂起モノは頂点を迎えます。

ザンボット3は、現在も続くガンダムシリーズの原点になったよ。
ガンダムから大人の視聴者も加わり、アニメは子供だけでなく、幅広い年代が楽しむ娯楽へレベルアップ。
エヴァンゲリオンも14歳の主人公で話題になりましたが、なんと言っても元祖はザンボット3。

この年頃の戦いは、ドラマになりやすいよね。
ちなみにサンライズチャンネルでは、ザンボット3を絶賛放映中(2021年6月現在)。
前半13話を終え、14話以降は1クール空けてから再開。
全23話なので、時間がない方も視聴してみては?
どの世代が見ても、様々なメッセージをキャッチできるはず。
そしてその体験は財産として残ります。
あなたがロボットアニメを好きでいる限りは。