中村文則はアリ or ナシ?【教団Xを正直レビュー】

中村文則と聞いて、ピン!ときた方は、間違いなく読書好きですね。

そんな方に、いきなりのカウンターパンチ。

著・中村文則「教団X」。

全く面白くありませんでした

ゴメンナサイ。

全然、肌に合わなかったんです。

その理由は本文にて。

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中村文則の教団Xはつまらなかった

とにかく長くてつまらない

ストーリーは、まっとうに活動しているごく普通の教団と、そこから派生したカルト教団、そしてそれを取り巻く人々の話。

まず何がツラいって、ツカミが悪い

導入部でツカミを求めるエンタメ脳の私には、この点が弱いと非常にマイナス。

本はそっと閉じるし、映画を見るのも辞めたくなります。

これと言った山場もなく淡々と進み、教団内部に潜入する中盤以降も、どこかで聞いたような展開が続き、つまらなさは極限。

早めに結論を欲しがる現代人に、これだけの長文を読ませるなら、もう少し目新しいアイディアや展開があっても良さそうだけど、一切なし。

最後まで、もやもやと進みます。

寄り道がつまらない

作品中、何度かひとり語りで始まる「教祖の奇妙な話」。

これがまたつまらない。しかもそこそこのボリューム。

話は派生して、下世話な話から物理にまで飛び火するものの、全く興味を引きません。

一言で言えばくど過ぎ

宗教と物理の相性の良さは解りましたが、だからと言って脱線しまくるのはどうかと…。

本編のストーリーも一貫して進まず、キャラクターの堀り下げも散漫で感情移入も難しい。

演出がつまらない

全編、かなりの性描写だらけですが、退廃感を演出したかったのでしょうか。

でも古典的過ぎて、映画「時計じかけのオレンジ」の足元にも及びません

出典:ワーナー・ブラザーズ

教団Xに君臨する教祖・沢渡も、執拗な性的手段で相手を威圧するのですが「圧倒的・悪」を演出するには、ちょっとありきたり。

マンガや映像作品で、この手のキャラクターを見慣れてしまっている方には、物足りないでしょう。

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本のことは嫌いにならないでください!【遅読がイイみたい】

中村文則 「遮光」「土の中の子供」「何もかも憂鬱な夜に」

ちなみに同著者の他作品も読みました。

遮光」「土の中の子供」「何もかも憂鬱な夜に」の3冊をチョイス。

…辛かったです。

特に「遮光」はペタペタとした文体でリズム感もなく、いかにもTHE★文学のようなテイスト。

カーテンを閉め、机の引き出しから瓶を取り出した。黒いビニール製の袋で覆われているのは、日光を避けるためだった。私は一日に一度このような瓶を取り出し、中身を確認した。深い意味はないが、何と言うか、これは私の習慣だった。今日も変化はなかった。

引用:中村文則「遮光」

何気ない冒頭ですが、このあとも「~だった」「~でした」という抑揚のない文が延々続きます。

川端康成が好き!と言うか、モロに「片腕」からインスパイアされたような作品ですが、この雰囲気が好きな人以外、序盤での挫折率は高そう。

なんだ本は小難しくてオモシロクないじゃないか」「人を選ぶんだったらいいや

そうなりますよね。

でも待ってください。

彼の作品は「本」という巨大な氷山の一角どころか、ほぼ無限とも言える在庫の中では、氷山にいたる大河の一滴ですらありません。

例の読書芸人の勧めで挫折した方も多いと思いますが、ここは一つ、諦めずに本と向き合ってください。

なぜなら素晴らしい一冊との出会いは、何ものにも代えがたいから

心の底から感謝できるんですね。「ありがとう」って。

そんな一冊と出会うには、それなりの経験を重ね、自分が成長することも必須。

面白いと思える範囲や理解の幅も広がります。

間違っても、本のことを嫌いにならないでください!

文学ってなんなの?

そもそも文学は風景や心情を深く掘り下げることが特徴

だからワンテーマやワンシチュエーションで終わるような作品も多く、場面展開の乏しさ=つまらなさに感じることが多々あります。

特に「起承転結」型のエンタメ脳をインストールされた方は、この手の作品にかなり違和感を感じるでしょう。

それは、ある意味しょうがない。

人間が心地よく感じる「型」はキチンとあって、例えばその一つが神話

何千年も前から、面白いと感じるパターンは同じなんです。

ほぼ大半の方がツカミを探して、山場を求めて、オチを期待してしまう

だから中村文則さんのような作品に出合うと、凄まじい違和感を覚えるんですね。

ですが、その違和感が、実は大事。

小説に限らず、映画やマンガでも「つまらないなぁ」と感じたら、作者が何かを掘り下げているかもしれません。

それに気づかず上辺だけすくって終わったら、作品を理解したことにもならず、もったいない。

スローリーディングのススメ

そんな空振りを避けるためには、内容を良く噛みしめ、ゆっくり読むのがオススメ。

なにかとスピードと結果を求められる昨今ですが、せめて本ぐらいはマイペースで読みたいもの。

そしてそれがお気に入りの一冊に出会うためのコツでもあります。

なぜって?本は人付き合いと一緒だから。

一見、とっつきにくそうな人でも、よくよく付き合ってみると「意外といいヤツ!」みたいなことってありますよね。

本も全く同じ。

解らなければ何度読んでもOK。焦らず騒がずゆっくり味わいましょう。

知識や体験を増やして自分が成長すること、そして遅読でゆっくり読むことを続ければ、きっとお気に入りの一冊に出会えます。

その頃には、あなたもステキな人物になっている…かも???