北欧ブームってキテます?
北欧家具とか北欧雑貨とか、北欧○○というワードも定着している気が。
ゲームや映画でも「オーディン」「トール」「ロキ」etcお馴染みの名前を見つけるとニヤリ。
福祉や教育で見習うことも多い国々ですが、お固い話は池上彰さんに任せました。
この記事は、もっとゆる目。
神話を切り口に、ダークファンタジーや北欧諸国に興味を持って頂けたら幸いです。
1.荒々しい世界観
天地創造以前。まだ神も存在しない世界。
長い時を経て、極寒の地ニヴルヘイムの寒気と、灼熱の国ムスペルヘイムの熱気がぶつかり合い、溶けだした氷の雫から巨人の祖となる「ユミル」が生まれます。
同じ雫からアウズフムラという雌牛も生まれ、その乳を飲みながらユミルも成長。
左脇の下から男と女の巨人が生まれ、彼らは「霜の巨人」と呼ばれるように。

出典:Mythology.net
さらに雌牛のアウズフムラが食料として舐めていた「塩辛い霜」が溶けだすと、今度は最初の神ブーリが氷の中から誕生。
その息子ボルと巨人族の娘から長男オーディンら三人の兄弟が生まれます。
最高神オーディンは超・好戦的で、最初の巨人ユミルを殺害。
血から海を、肉体からは大地を、骨から岩山を作り、その死体をくまなく利用して世界を創り上げます。

2.巨大樹ユグドラシル
北欧神話の世界は一本の巨大な樹「ユグドラシル」が始まり。
その根本が3つに分かれて、
極寒の国「ニヴルヘイム」
灼熱の国「ムスペルヘイム」
城壁で守られた神々の国「アースガルズ」へと広がります(他にも人間が住む「ミズガルズ」など)。

3.北欧2大神族
1.アース神族
最高神オーディンを筆頭に、アースガルズに住まう神々。魔術や法律、知識、戦闘などに精通。

出典:Norse Mythology for Smart People
2.ヴァン神族
謎の国ヴァナヘイムに住む、富や愛欲を担う神々。セイズ呪術と言う魔術で、未来の予知能力もできました。

出典:Norse Mythology for Smart People
4.巨人と小人
1.巨 人
オーディンによって住みかを追われた巨人族は、神や人間にとっての敵。
原初の巨人ユミルの親類である「霜の巨人」が有名ですが、他にも炎の巨人ムスッペルや、幻術を使うウートガルザ・ロキ、魔狼フェンリル等、見た目もサイズもヴァリエーション豊富。

出典:Ancient Origins
2.小 人
小人は地中や岩の中に好んで住み、アイテム製造が得意。
オーディンの武器「大槍グングニル」も彼らが造りました。

出典:Ancient pages
5.全ての終焉「ラグナロク」
ユミルから生まれた巨人たちは神々から追われましたが、ヨトゥンヘイムで少しずつ増え続け、反撃の時を待ちます。
きっかけは同じ巨人族の邪神ロキ。
聡明なロキは、アースガルズの神々に迎えられましたが、オーディンの息子バルドルを妬み、バルドルの弟ヘンズをそそのかして、兄を殺害します。
以来、少しずつ巨人と神々の緊張は高まり、遂に最終戦争ラグナロクへ突入。
戦いは壮絶を極め、オーディンはロキの息子フェンリルに噛み殺され、ロキもまたアースガルズの番人ヘイムダルと相討ちに。
神々と巨人の戦いは多くの犠牲を払ったのち、両陣営ともに滅びるのです。

出典:BLURRED NIGHTMARES
6.サ ガ
1.人間の時代
ラグナロクで崩壊した世界は、生き延びた神々や人々によって再興。
この時、生存した男女が、人間の祖先とされています。
ちなみに北欧神話は、9~14世紀にかけて物語としてまとめられた「サガ」や、「詩のエッダ」「散文のエッダ」と呼ばれる文書が原典です。
2.ヴァイキング
ヴァイキングは9~12世紀にかけて、交易と略奪を繰り返した海洋民族(*ただし略奪はごく一部)。
とても信心深く、北欧神話の神々も信仰していました。
神々の力強い生き様が、ヴァイキングの生活様式とマッチしていたのかもしれませんね。
7.主要キャラクター
オーディン
属 性:アース神族
生息地:アースガルズ
知的探求心と残虐さを兼ねそろえた最高神。
来るラグナロクに備え、知識と情報の獲得に余念がなかったようで、知恵を授ける泉の水を飲むため、代償に片目を捧げたほど。
トール
属 性:アース神族
生息地:アースガルズ
北欧神話の中でも最強の戦闘力を誇る雷の化身。
その武器、大槌ミョルニルを振るえば大地は裂け、全ての生物は一撃で亡骸に(ヨルムンガンドをのぞく)。
ヘイムダル
属 性:アース神族
生息地:アースガルズ
神々の国アースガルズと人間の国ミズガルズの間に建てられた虹の橋ビフレストで、巨人の侵入を監視。
角笛ギャラルホルンを吹き鳴らし神々を召集、ラグナロクの到来を告げます。

フレイヤ
属 性:ヴァン神族
生息地:ヴァナヘイム
愛と美を司る女神。
自由奔放な性格で、4人の小人がつくった首飾りブリーシンガメンを手に入れるため、かれらの提示した条件を飲むことに。
それは「一晩を供に過ごすこと」。
この軽はずみな行動に失望した夫オーズは、彼女を置いて旅に出ます。
フレイヤは夫を探して世界中を周りましたが、再会は叶いませんでした。

ロ キ
属 性:巨人族/アース神族
生息地:アースガルズ
巨人として生まれながら、聡明さを認められ、最高神オーディンと兄弟の契りを交わします。
自ら作りあげた魔剣レーヴァテインは、ルーン文字が刻まれた美しい武器。
オーディンの子バルドル殺害後は拷問にかけられ、以来、アースガルズとは距離を置き、巨人たちと一緒に神々と闘います。
フェンリル
属 性:巨 人
生息地:ヨトゥンヘイム
ロキの子供で三兄弟の長男。
魔狼と恐れられ、神々から魔法の紐グレイプニルで縛り付けられますが、ラグナロクでは拘束を解かれ、アースガルズを襲撃。
オーディンを飲み込んでしまいます。
ヨルムンガンド
属 性:巨 人
生息地:海 底
同じくロキの子で三兄弟の次男。
フェンリルと同じく神々から忌み嫌われ、海へと投げ捨てられますが、海底で巨大な大蛇に成長。
その後、雷神トールと三度の戦いの末、頭を砕かれ絶命します。

スルト
属 性:巨 人
生息地:ムスペルヘイム
灼熱の国ムスペルヘイムを守る番人で、全てのムスッペルの頭領。
スルトの放った火焔は強力で、アースガルズを焼き尽くしました。

スレイプニル
属 性:神 獣
生息地:アースガルズ
アースガルズの砦は、ひとりの巨人によって建設されました。
報酬は女神フレイヤを差し出すこと。
契約成立後、巨人は愛馬スヴァジルファリと供に、砦の完成を急ぎます。
しかし期限の当日、ある牝馬に誘惑されたスヴァジルファリは、そのまま駆け落ち同然に現場放棄。
巨人は期日までに砦を完成出来ず、報酬も無かったことに。
そしてスヴァジルファリと交わった牝馬は一頭の子を宿します。
その名もスレイプニル。8本脚を持つ世界最高の駿馬が誕生しました。
ベルセルク
属 性:人 間
生息地:ミズガルズ
最高神オーディンの下で戦う戦士たちの総称。
痛みの感覚が無いため、狂ったように戦い続けることが出来ました。
英語の「バーサーク(狂暴な)」の語源にもなった彼らは、儀式的な行為や毒草などを服用することで、錯乱状態に陥っていたと考えられています。
8.今に生きる北欧神話
薄々気づいた方も多いと思いますが、漫画「進撃の巨人」は、北欧神話をベースにしたダークファンタジー。

映画「マイティ・ソー」には、トールとロキが登場しました。出で立ちも、神話の設定を意識したものでしょう。

もっと身近なところでは「曜日」にも、お馴染みの名前が潜んでいます。
水曜日 Wednesday → Wodan’s day 最高神オーディン(odin)の日
木曜日 Thursday → Thor’s day 雷神トール(thor)の日
金曜日 Friday → Freyja’s day 女神フレイヤ(freyja)の日
なぜ北欧神話は、ここまで日常に浸透したのでしょう?
理由の一つは、北欧諸国がゲルマン民族に属しているから。
そのため、言語や文化が似ているゲルマン系のイギリスやドイツでも、神話の影響が見られるのです。
理由のもう一つは、魅力的な神々のキャラクター。
彼らは欲望に忠実で人間味にあふれ、非常にダイナミック。
ドラマチックな展開も盛り沢山で、漫画原作や映画化にピッタリ。
こんなお話を少しだけでも知って、ゲームや映画の世界に触れると、違った見方が出来るかもしれません。
この記事がきっかけの一つになれば嬉しいかなと。
最後に。
細部を省いて、かなり大胆かつ強引にまとめましたが、それも雷神トールのようで、まあ良しとしています。
ご了承ください。