本棚を晒す【珍本これくしょん vol.17 「海底五万マイル」】

時間を返して…

 

これが読後の感想。

 

かなりの珍本ですが、読む必要は一切ありません。この記事で概要をつかめば充分。

海底五万マイルの世界観
・海底二万里のパクリ
・やりすぎ(痛々しい)

以上。

 

冒頭から「どんだけヴェルヌ好きなんだよ!」ってくらい、どこかで見たようなシーンがてんこ盛り。

(左) どこかで見たような氷山からの脱出
(右) どこかで見たような現地人の素潜り

 

モチーフになった海底二万里では、未知なる大海原が神秘的に描かれ、大自然への敬意も感じられますが、海底五万マイルでは、そんな雰囲気はゼロ。

 

ネモ船長のように、崇高な使命をもったキャラクターも一切登場しません。

 

どこまで読んでも、少年パブリックと潜水艦ピオネール号の乗組員たちが繰り広げるドタバタ冒険活劇。

 

いちいちやりすぎなんです。

イカやタコ、クジラやカニなどが襲いかかって来るまでは、なんとか飲み込めたのですが、プレシオサウルスの襲撃で完全に興ざめ。怪獣退治のような展開にウンザリ。

 

抜け忍
抜け忍

子どもだまし感が…。

 

当時はこれで良かったんでしょうね(対象年齢も小学校低学年)。

 

しかも最後はソビエト万歳。

少年パブリックを称える艦長のウォロンツォフ

「諸君、この少年をみてください。氷山の上からすくいだされた一少年を。かれはいまやソビエトのほこりとなった。わが祖国のたくさんの子どもたちの手本になった…」

 

この本の出版は1939年。世界大戦と社会主義真っ只中で生まれた作品なので、こんな結末になった模様(大粛清でお馴染みスターリンのご時世)。

 

抜け忍
抜け忍

ツ、ツマラン…

 

ね?読む必要ないでしょ?

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「海底五万マイル」のレヴュー

値段 ★★★★☆ 600円。どう見てもエラー価格だったので購入。
内容 ★☆☆☆☆ 陳腐な冒険活劇。
遭遇率 ★☆☆☆☆ めちゃくちゃレア。
スキ度 ★☆☆☆☆ スキじゃありません。最後まで読み通すのは苦痛。

 

読後、改めてわかったのは海底二万里の偉大さ。

(左)福音館書店版
(右)新潮小説版

なんせ潜水艦と言う発想が新しい。出版当時はこんな鉄の塊が海に潜るなんてありえませんでした(1870年出版)。

 

科学をベースにしたヴェルヌの分厚い知識が、ノーチラス号を生み出したのです。

 

もちろん読み応えも充分(ネモ船長の暗い過去、神秘に満ちた海底探査etc.)。

 

そのインパクトがあまりにも大きかったため、その後、どんな小説を読んでも、幼少期の感動に達することは、ほぼありません。

 

まさか1980年代の読書体験が、今日に至るまで尾を引くとは思ってもいませんでした。

 

なんの先入観もなく手にした一冊は、次世代まで読み継がれる古典だったのです。