イーディス・ネズビットの「砂の妖精」は児童文学の古典。
カヴァーのヴァリエーションも豊富ですが、角川文庫版は特に秀逸!


この可愛いさったらない!
一目惚れしました。完全にジャケ買い。帯のイラストも美しい。

スイーツの包装みたい。
お話だってユニーク。
砂場で見つけた妖精・サミアドに、子どもたちが無理難題をリクエスト。
サミアドも、決して彼らに味方するわけではなく、ただただ機械的に願いを叶えるだけ。
・美しくなる
・大金を得る
・翼を授けるetc.
などなど。いずれも効力は朝から日暮れまで。
一見、うらやましく思えますが、ありえない大金の所持や、急激なビジュアルの変化で、大人から常に怪しまれ、トラブルは絶えません。
「アウトレス、タン、アウトレス、ノイレス」と、サミアドがいいました。
引用:E・ネズビット「砂の妖精」
「それ、ニネベ語ですか?」外国語は、フランス語をすこししか知らないアンシアがききました。
「この意味はな、むかしの人間は、毎日つかう、地道なものしかほしがらなかったということさ(以下略)」
どこか教訓めいた内容もあって、耳が痛いこともしばしば。
当時は、贅沢があまり歓迎されなかったのかもしれません。
「砂の妖精」のレビュー
値段 | ★★★★★ | 100円。とにかく一目惚れ! |
内容 | ★★★★☆ | アイディアはメチャクチャ面白い。映像化希望。 |
遭遇率 | ★★★☆☆ | 角川文庫版はあまり見かけません。 |
スキ度 | ★★★★☆ | ひたすらカワイイのでキープ。 |
表紙とタイトルの第一印象から、冒険ファンタジーを想像しましたが、全くそんな展開はありません。
どちらかと言えば、ややブラック寄り(子どもたちが理性的でないため)。
サミアドも正体不明のクリーチャー。
(中略)その奇妙なものの目は、カタツムリのように、長い角のさきについていて、望遠鏡のように、のびたり、ちぢんだりすることができました。耳は、コウモリの耳のようで、ずんぐりした胴には、まるでクモのおなかのように、あつい、やわらかい毛がはえていました。
引用:E・ネズビット「砂の妖精」

何でしょうね。地球の先住民族でしょうか。かなり気になります。
ちなみにNHKで放送された「おねがい!サミアどん」は、サミアドが元ネタ。

大人の事情で大胆にアレンジされていますが…。
ちょっと可愛すぎません?
【オマケ】
児童書はハードカバー推しのワタクシ。


作りもリッチ。オーナーシップも味わえて大満足。


かさ張るわ重いわで、ついつい敬遠しがちな大版ですが、イラストの迫力や文字の読みやすさは、このサイズでしか味わえません。

没入感も違ってくるよ。
お気に入りの一冊にはハードカバーを是非!