どんな本も需要が無ければオシマイ。

それが出版業界の掟。
内容が良かろうが悪かろうが売れれば重版。売れ残れば絶版。
今回のロボットVS.人類 (SFセレクション)は、残念ながら後者。
泣かず飛ばずだったのか、あっという間に書店から消えました。

こんなことがあって良いのだろうか。
編者の赤木かん子さんは、児童文学に一家言持つ重鎮。
そんな彼女の選ぶセレクションだから、ハズレようもありません。
・ロボットと言う言葉はどのように生まれたか(カレル・チャペック)
・ロビイ(アイザック・アシモフ)
・火の鳥 復活編 AD3009(手塚治虫)
・フレンドシップ2(矢野徹)
・アンドロイド・アキコ(古田足日)
・宿命(星新一)
・未来世界の構築(ジェリー・バーネル)
「ロビイ」と「火の鳥」は類似点がユニークだし、「宿命」はわずか5ページながら、乾いた文体で人間の残虐性を浮き彫りに。
ロボットに芽生えた感情を描いた「フレンドシップ2」と「アンドロイド・アキコ」も充分な読み応え。
いずれも子どもだけでなく、大人の読書にも耐えうるものです。
この手のアンソロジーをきっかけに、SFだけでなく、科学や医学にも興味が広がるはずなのに…もったいない。
「ロボットVS.人類 (SFセレクション)」のレヴュー
値段 | ★★★☆☆ | 700円。珍しくちょっとお高め。それでも即買いでした。 |
内容 | ★★★★★ | どれも素晴らしい作品。短編ながら、非常に奥行きがあります。 |
遭遇率 | ★☆☆☆☆ | 残念ながら絶版。こまめに古書店の児童書コーナーを回るしかありません。 |
スキ度 | ★★★★★ | このセレクションは復刊希望です。あまりにももったいない。 |
SFは大好物なんですが、その中でもロボットモノは愛してやみません。
ちなみに自宅のラインナップ。







「ロボコップ」とか「銀河鉄道999」とか、コアなファンが見たら怒られそうだけど、ロボットモノって「人間とは何ぞや?」が、必ず作中で定義された作品なので、迷わずぶっ込みました。
アイザック・アシモフが多めなのは、シンプルに好きだから。「鋼鉄都市」「はだかの太陽」「夜明けのロボット」は激推し!刑事とロボットとの組み合わせは鉄板。引き締まった世界観でグイグイ読ませます。SFファンなら必読。
「人造人間キカイダー」もマスト。元ネタがピノキオだとわかって、ストンと腑に落ちます。全てのロボットモノは、ゼペットじいさんの願いから始まったのかもしれません。
「ロボット刑事」にいたっては、人間の家族と寝食を供にするばかりか、マザーと呼ばれる巨大な母親ロボットも登場。限りなく人と機械の区別を曖昧にした意欲作。


引用:石ノ森章太郎「ロボット刑事」
…キリがありませんね。出来れば一つずつお話したいのですがお開き。
AI時代の到来を控えて、ロボットと人間の関係を考える機会も増えてきました。
(仕事が奪われるなど)いたずらに怖がるばかりでなく、常に「if(もしも)」を念頭に想像の翼を広げれば、きっと新しい知見やユニークな視点を得られるでしょう。
その際、上記のSF作品がヒントになることもお忘れなく。
繰り返し読むことで、必ずやあなたの力になってくれるはずです。